彼とチューベローズに溺れて

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──4月。 晴れ渡る空の青との狭間を淡い桃色が空と大地を儚く彩る中、娘が幼稚園に入園した。 「ママー! こうえん! こうえん行こうよー ! 」 「だめよ、幼稚園で先生がハナのこと待ってるよ? 」 ……はぁいつもこれだ。 幼稚園への送迎は徒歩が原則。 家から幼稚園の間に少し大きな公園があり、娘の花枝(ハナエ)は行きも帰りもいつもそこを通る度に、公園に行きたいとせがんでくる。 「ママ、こうえんであそんでかえろ! 」 「だーめ! 幼稚園の先生は寄り道していいって言ってた? 」 「……いいって言ってた。」 「そんなわけないでしょ。 ほら、帰るよ! ……どうしても遊びたいなら、一度おうち帰ってからにしよ? 」 「……わかった」 自宅から例の公園までは割りと距離があるから、本音を言えば、かなりめんどくさいのだけど……。
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