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「貴方、先ほど黒束さんとお話されていた方ですよね? 」
振り返るとすぐに問いかけられたが……さっぱり見当がつかない。
「黒束さん……? 」
「あ、黒束さんはここの公園のベンチにいつも座ってはる男の人の事ですよ」
意味が解らず、首を傾げているとオバサンが気付いてくれたようだ。
────なるほど、あの男の事か。
「ああ! ……彼がどうかしたんですか? 」
何? やはりあの男は危ない奴なの?
再度不安になり、私の鼓動が速くなる……。
「彼、とても良い人だから……いつもあそこに座ってるからその……、気味悪く感じるかも知れないけど、彼は気の毒だけど本当に! 良い人だから。
……不信に思わないであげてね? 」
「ぁ、はぁ。」
一瞬、頭を過った答えではなくてホッとしたが、何やら拍子抜けしてしまい、自分でも間抜けな声が出た。
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