Ⅲ 絆

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『そう、ママのってそれなの』  静香が続ける。 『自然に二重になったんじゃなくて、作ったやつ』 『だから恭くん、安心して?』  恭二の返信を待たずにメッセージが続いた。 『私、ずっと今のままだよ!』 『両親が一重だから』  ――私、ずっと今のままだよ!  その瞬間、世にも幸せなフレーズが、まるで実際に耳元で静香に言われたかのように、恭二の脳内でリフレインした。  私、ずっと今のままだよ!  ずっと今のままだよ!  今のままだよ――! (――ヒャッハーーー!!!)  うなだれていた恭二の顔に、一気に精気が戻った。  椅子の上でシャキンと背筋を伸ばし、恭二は猛烈な勢いで返事を打つ。 『何言ってんだよ』 『そんなの気にしてないよ』  すぐに静香から、 『ごめん、考えすぎちゃった』  テヘペロ猫のスタンプが来た。 『前に恭くん、私の目が好きって言ってくれたから』 『あのとき、嬉しくて』  向かいの席で顔を起こした静香が、恭二を見上げて、えへへ、と笑う。 (……なーーんて、かわいいんだーーー!!!)  恭二の中で、幸福感が爆発した。
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