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『そう、ママのってそれなの』
静香が続ける。
『自然に二重になったんじゃなくて、作ったやつ』
『だから恭くん、安心して?』
恭二の返信を待たずにメッセージが続いた。
『私、ずっと今のままだよ!』
『両親が一重だから』
――私、ずっと今のままだよ!
その瞬間、世にも幸せなフレーズが、まるで実際に耳元で静香に言われたかのように、恭二の脳内でリフレインした。
私、ずっと今のままだよ!
ずっと今のままだよ!
今のままだよ――!
(――ヒャッハーーー!!!)
うなだれていた恭二の顔に、一気に精気が戻った。
椅子の上でシャキンと背筋を伸ばし、恭二は猛烈な勢いで返事を打つ。
『何言ってんだよ』
『そんなの気にしてないよ』
すぐに静香から、
『ごめん、考えすぎちゃった』
テヘペロ猫のスタンプが来た。
『前に恭くん、私の目が好きって言ってくれたから』
『あのとき、嬉しくて』
向かいの席で顔を起こした静香が、恭二を見上げて、えへへ、と笑う。
(……なーーんて、かわいいんだーーー!!!)
恭二の中で、幸福感が爆発した。
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