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(しかも、あのかわいい顔は、これからも変わったりしない!!)
恭二の脳内で、無数の白いハトたちが、教会の屋根から青い空へと飛び立つ。
鳴り響く鐘の音。舞い上がるカラフルな風船たち。
傍らには、純白のウエディングドレス姿の静香の姿――。
『目も好きだけど、俺は静香の全部が好きだから』
なんとか脳内のハトや鐘を鎮めて、メッセージと照れるウサギのスタンプを静香に送ったところで、恭二はそっと息を吐いた。
椅子に深く腰掛け、さっきまでのことを思い返す。
(――落ち着け、俺)
そもそもさ。万が一、ちょっとくらい顔が変わったって。静香は静香じゃん。
優しくて癒し系で優秀な、俺だけのお嫁さん。
……俺のバカ。結婚考え直すとか、ありえねーだろ。
まったく、何考えてたんだよ、われながら。静香に心配かけて。
何かに駆り立てられるように、恭二は立ち上がった。
驚く皆の前で、口を開く。
「静香さんのお父さん、お母さん」
未熟すぎる自分だけれど。
両家の親と静香に、この思いが届くように。
「安心してください。俺、何があっても静香さんを守ります。だって静香さんは、俺が選んだ、世界でたった一人の女の子なんだから」
テーブルを囲む5人の顔を見回した。
「だから、昔のことはどうか水に流していただいて。これから先、俺たちのことを、どうぞよろしくお願いします」
背筋を伸ばし、深く頭を下げると、誰からともなく拍手が起こった。
顔を赤らめ、上目づかいで笑いながら、恭二は椅子に座り直した。
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