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テーブルの向こうで、涙ぐむママさんの肩に静香と父が優しく手を置くのを、こちら側から恭二の両親が見守っている。
ちょうどそこへ、タイミングを見計らったようにデザートのフルーツタルトが運ばれてきた。もしかしたら、個室でのさっきまでの騒ぎに、部屋に入るのを遅らせてくれていたのかもしれない。
タルトも、続くコーヒーと店の特製チョコレートも、いつも通り素晴らしい美味しさだった。
恭二の宣言の余韻も相まって、部屋は和やかな空気に包まれる。あれほど表情が硬かった父も、すっかりリラックスして、静香の父となにやら笑い合っているようだ。
(まったく、親父のやつ。何やってんだか)
その様子を見ながら、恭二は苦笑した。
(これだからボンボン育ちは困るんだよな。まあ、お坊ちゃんなのは俺も同じだけど)
向かいの席では静香が、コーヒーカップの陰で、柔らかな笑みを浮かべていた。
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