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(――えーーー?!)
恭二は機械仕掛けのように、二人の顔を見比べる。
(え、ちょっとどういうこと? 親父が、静香のママさんの元カレ?)
静香の母が、ふと遠い目になった。
「おつきあいの始まった頃は、結婚したら玉の輿だ、いや逆玉だ、なんてふざけていらしたけど。いざ将来のことがリアルになってくると、重たくなられたのかしらね、家付き娘に婿養子に行くだなんて。あたくし、こんな勝気な性格ですし」
苦笑して、恭二に視線を移す。
「でも恭二さん、安心なさって? 静香はこの通り、父親似で穏やかな娘ですから」
たしかに、彼女の隣に座る静香の父は、こんな爆弾発言を聞かされたというのに動じる様子もなく、娘とよく似た涼しげな顔で妻を見守っている。
だが、自分の両親は、そして静香は、いったい今、どんな顔をしているのだろう。
様子をうかがいたいけれど……う、動けない。
まるで、蛇ににらまれたカエルのように。貫禄たっぷりの静香の母の圧力に、恭二は声も出せずに固まっていた。
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