Ⅱ 謝罪

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 静香の母に話を振られて、恭二の母もにこやかに調子を合わせる。 「ええええ、本当に。おっしゃる通りだと思いますわ。このたびは、昔のこととはいえ、主人がご迷惑おかけしましたそうで」  隣で、恭二の父が力なく笑った。  そういえば、父の好みをわかりやすく反映したのか、恭二の母は奥二重のあっさりした顔立ちだ。 「いえいえそんな、奥様。どうぞお気遣いなく」  静香の母が大げさに手を振る。 「もう、ママったら」 「ははは。しかし君にはいつも驚かされるなあ。もしも静香が君に似ていたら、びっくり箱がふたつで、僕はきっと気が休まる暇がなかったよ」  たしなめる静香と、あくまでも朗らかなその父。  ふわふわと続けられる会話に、笑顔で適当に合わせつつ、恭二は内心、衝撃に打ちのめされていた。 (――嘘だろ?!)  問題は、静香の母の話の内容だ。 (二重まぶたは優性遺伝だと? 今は一重でも、ゆくゆくは二重まぶたになる?)  生物に限らず理数系全般に弱くて、遺伝の話はよくわからないけれど。  恭二は、親たちに何か言って笑っている静香の横顔を盗み見る。
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