希う

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私は家に帰るとすぐに自室のパソコンに向かった。カーテンを開けようかと思ったけどやめた。外に祐介君が棒立ちしていたら、多分怖くて叫び出してしまうから。 あのおまじないが書かれていたネット掲示板を開く。ページを上から下に眺めると、おまじないを解きたい、という質問者がいた。恐らくこの人も、自分の想像を遥かに超えた結果に嫌悪したのだろう。 解き方は思ったより遥かに簡単だった。おまじないをかけた人の机に、白い百合を置くだけ。解くときは呪文もいらないらしい。 「なんだ…よかった」 思わず言葉が漏れる。どうにか一件落着しそうだ。 掲示板の質問者も、それでまじないが解けたらしく、教えてくれた人にお礼を言っていた。 とりあえず明日また早く学校に行き、祐介君の机に白百合を置こう…。 解決方法が見つかり安堵した私は、なんとなく黒百合の花言葉を調べてみようと思った。 検索バーに「黒百合 花言葉」と入力する。 エンターキーを押すと、いくつもの記事やらブログが表示された。 黒百合の花言葉…それは「恋」と「呪い」。 呪い(のろ)と、御呪い(おまじな)…。言い方が違うだけで、どちらも呪法の類だということを改めて認識した。相手を操る禁忌の技…。 …こういうの、もうやめようかな。そう思った。
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