0人が本棚に入れています
本棚に追加
アイドルへの道
晴己は、小さいころから目鼻立ちのはっきりした美少年で、周囲から「かわいいかわいい」と褒められ、ちやほやされて育ってきた。また、明るく笑いをとったり注目されたりすることが大好きで、学校内では男女問わず人気があり、学校一のモテ男として有名であった。そんな晴己の持てはやされぶりを見た母は、晴己が小学6年生になった春、晴己を有名芸能事務所のオーディションへ連れていった。学校内で人気者であることに、心地よさを感じていた晴己は、母が突如オーディションへ連れてきたことに戸惑いもあったが、まんざらでもないといった様子だった。晴己は、そのオーディションにトントン拍子で合格し、すぐに入所が決まった。
その事務所では、グループを結成してのアイドル活動が主であった。入所してすぐからの研修生と呼ばれる多くのアイドルの卵たちの中から、事務所社長によって選び抜かれたメンバーたちが、グループを結成し活動していく。グループとしての人気、実績が社長に認められれば、そのグループは正式にデビューを果たし、芸能界でも一躍有名な存在となれるのだ。
もちろん芸能界という厳しい世界でその存在を輝かせることは簡単なことではない。しかし、これまで人気者として過ごしてきたまだ12歳の晴己は、自分ならすぐに、芸能界においても有名になれるのではないか、そんな甘い考えを抱いていた。
最初のコメントを投稿しよう!