序章

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一通り見たけど、結局外に出る手掛かりも、ここが何処なのかもわからなかった。 ただ。数日分の食料があるという事はきっと私はしばらく監禁されてしまうのだろう。 何で私がこんな目に…。 絶望に伏してると、コンコン、とドアをノックする音が鳴る。 窓がない部屋の唯一の外部との連結場所。 誘拐犯と鉢合わせになるのを恐れて触れなかったところだ。 ノックしてきたってことは、誘拐犯ではない誰かが居る? 私は深呼吸で心拍を落ち着かせ、ゆっくり、ゆっくりとドアノブを捻った。 目に入ったのは黒のベルト。徐々に目線を上げると驚いた顔をした赤髪の男の人がいた。 「どうなってんだ…」 ぽつりと呟かれた言葉は少なくとも私よりここの事を知っている様子だ。私はすかさず「何がですか?」と聞き返した。 「あ、いや…お前で8人目なんだよ」 「8人目?」 「あぁ。監禁されてるやつがお前で8人目だ」
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