序章

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「第一の間、第二の間、第三の間で計3人…何て一言も言ってませんよ」 「じゃあ…!一体何人が帰れるって言うのよ!」 声を荒らげモニターに詰め寄る黄久瀬さん。 他の人も声には出さないが絶望を感じ始め、怒りが見え隠れしている。 私も黄久瀬さんに続こうと口を開いて、ふと思い出す。 シロエもクロエも明確に人数を言わなかった。 それは単に悪趣味なゲーム性を考慮してかもしれないが、何かがおかしい。 「人数何てどうでもいい。ゲームに勝てさえすれば帰れるんだからさァ。」 嘲笑し、あっけらかんと質問に答えない犯人。 愉快そうに話すのは、犯人にとってゲームでしかないから?私たちが連れてこられたのは、不運で、気まぐれに選ばれたとでも言うの? …出られる人数を明言しないのは、犯人の気分次第で変わるから? あの嘲笑と嫌な考えが頭を支配して立つのもやっとの状態だ。 これが思うつぼだとわかっていても気丈になんて振る舞うこと出来ない。黄久瀬さんのように反抗すら出来ない。…何で。何で私が。 「第一のゲームはこちらです」 刹那画面は文字に切り替わる。 正常じゃない頭のせいで見間違えたのだろうか。目を閉じ、そしてゆっくりと開ける。 けれど文字は一つとして変わってなかった。 「お茶会…ってお茶飲むだけ…?」 おどおどしながら橙野さんは上目遣いでモニターを見る。いつの間にか切り替わってた画面のクロエは深い溜息をついた。 「別にオマエらがそうしたいならそうすればいい。二度も言わない、だが言える事は一定時間後、投票を行う。迂闊にしてたらどうなるかな。」 どこまで、どこまで馬鹿にして楽しむつもりなのだろうか。投票を行うという事は、自分の技量が問題なんじゃない。誰を突き出すか選べと言う事だ。 力を入れすぎて鉄の味がする。 啖呵を切っても、泣いても、睨んでも、モニターの二人にとってどうってことない。まるで人形のように情がないんだ。 誰も動かない中画面越しのクロエと目が合う。 そしてさも面白げに口角を上げた。 「“掲げろ、君の手の内を”」 それだけを言い残して画面は消え、部屋が暗転した。
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