危機一髪……!!!

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危機一髪……!!!

「おいっ!夏乃、待てって!」  雲ひとつない爽やかな晴天。慌てる俺なんて気にもとめず、小鳥達はごきげんに歌い続ける。  俺のはるか前を歩く夏乃は、平然と一言で返す。 「アキが寝坊するのが悪い。自業自得」  ダルそうな言い方は夏乃の通常運転だ。冷たく感じる正論も本人は全く悪気無し。  わかってはいる。わかってはいるけど、やっぱり言い返したくなる。夏乃はかなり損をして生きていると思う。 「その通りだけどさぁ、少しぐらい待っててくれたっていいだろ〜?」  なんとか反撃を試みる。これが反撃と言えるのかどうかはビミョーだけど。 「アキは私が出発まで待っていたことをありがたく思えばいい」 「それは本当にありがとうございましたっ!」  勝ち目がない。今日も負けた気がする。  こんな会話に勝負も何もないが、ここまで言い負かされると意地でも希望を通したくなるものだ。もちろん、夏乃を相手にして一度もそんなことできた試しは無い。  右手にトーストを持ち、頭を下げながら走る俺。妙な格好をしているのは自覚している。こんな状況に陥った原因といえば……まぁ寝坊である。
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