天使さまが俺を『善』に導きたかったのは、

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天使さまが俺を『善』に導きたかったのは、

あれから数年がたった。 あの時、天使の最後の言葉はすべて聞き取ることができなかった。 あいつは俺のなんだったのだろう。 なぜ、あいつは俺を選んだのだろう。 そんなことを考えていたのは、天使が消えてからほんの数カ月だけのこと。 あのあと、俺は大学の単位だ就職だなんだとせわしなくなり、自然と天使について考えることはなくなっていた。 ふと落ち着いたときに思い返す程度だった。 「(あいつ、無事に転生ってやつできたのかな……)」 自宅のソファでボケっと天使について考えていると、その俺に影を落とすように彼女が近づいてきた。 「まーたなんか考えてる?」 「んーー…用意できた?」 「できた。行こっ」 そうそう、彼女が俺の奥さんになった。 彼女のお腹には待望の第1子も存在する。 子どもが生まれたら、天使のことを考える時間が今よりもっと少なくなるだろう。 だが、天使はそれを善いことだと口にするだろう。
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