幸せの日々ーアンジーの憂鬱ー

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週末 停車した列車から降りて来た少年 真っ直ぐ見据えた力強い茶色の瞳 クレーマー家の三男坊のサーニン 改札口には彼を出迎える人影 「サーニン、おかえり」 一生懸命手を振るマックス、側に来たサーニンに抱きついた 「よう!」 笑顔で左手を上げて言うアンジー 「ただいま、アンジー」 駅前を繁華街に向かって歩く三人 「マックス お前、また背が伸びたか?」 いつの間にか目線が自分より上になった彼に訊ねるサーニン 「そう?自分じゃわかんないよ」 すると二人の間に入るアンジー 「ほんと、一番チビだったのに」 悔しそうに言った 「だから、もうチビじゃないよ」 二人を振り切って走るマックス やがて交差点の前、信号は赤 ーあ~あ、やっぱりこことは 相性悪いんだよなぁー 心の中でそっと呟くアンジー 「ここを渡ればすぐだよ」 横断歩道の先を指差すマックス 「でも、フーちゃんどうしてここに引っ越して来たんだ?」 アンジーに訊ねるサーニン ー知らねぇよ、そんなことー なぜか不機嫌な顔のアンジー やがて青に変わった信号 「おい!何ボーっとしてんだよ 渡るぞ」 サーニンに促され歩きだす オフィーリアのマンションの前 引っ越し業者のトラックが止まっていた、するとドアが開き数人の 男性が出てきた 「ご苦労様 ありがとうございます」 男性たちに挨拶する二人の女性 走り去るトラックを見送る その様子をじっと見る三人にきづかずマンションに入ろうとする 「フーちゃん」 声をかけるサーニンとマックス その声を聞き眼鏡の奥の瞳を丸くして驚くオフィーリア 「あなたたち どうしてここにいるの?」 「私が連絡したのよ、彼らに何も 言ってなかったのね」 彼女の隣に立つ黒髪の女性 「エイダ、引っ越すことは言ってたから落ち着いたら連絡しようと 思ってたの」 「ずいぶん水くさいんだな」 拗ねた顔で彼女を見るアンジー 「だって、ここ女性専用マンションだから…荷物も少ないしね」
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