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[ファミリー]
優しいピアノの旋律
心に染みる音色が響いている
家族連れで賑わう店内
その一角に座る五人
「どうしたの?エイダ」
切ない顔でグレアムを見ている
「素敵なメロディーね」エイダを見てそっと呟くオフィーリア
「ほんとね、ほんとになんて優しくピアノを弾くんだろうね
おじさまのピアノは凄く激しい
怖いくらいだったのに…」
グレアムから目線を反らし閉じた
「今のあいつの心が
落ち着いているからだよ」
ピアノのメロディーに耳を傾けながらボソッと呟くアンジー
「そうね、優しい両親と大好きな
あなたたちと一緒で幸せなのね」
三人の方に顔を向けて嬉しそうに言うオフィーリア
エイダの頬を伝う一筋の涙
ハンカチをそっと出すアンジー
「優しいのね、でもその優しさ
誰かさんに分けてあげたら?」
差し出されたハンカチで涙を拭いながら言ったエイダ
「俺はすべての女性に優しいよ」
ニヤリとしながら言うアンジー
「へぇ~、そうなんだぁ」
アンジーの顔を覗きこ意味ありげに睨むオフィーリア
「お待たせ」
演奏を終えたグレアムが来る
「ご苦労様
お前のファンがうっとりして
聞いてたぞ」
ニヤニヤしながらグレアムを見る
「アンジーが居てくれると女性客が増えて売り上げが上がるって
オーナーが言ってるよ」
「そりゃ、どうも!」
テーブルに肘をつき上目遣いに
グレアムを見るアンジー
「僕、着替えてくるから
もう少し待ってて」
そう言って店の奥に行くグレアム
二人の会話を聞いていた四人
「もう大丈夫みたいね」
サーニンとマックスに訊ねる
エイダの言葉に安心する二人
その横でまだ不安気に隣に座る
アンジーを見たオフィーリア
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