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情けない彼氏で、情けない夫で、情けない父親になった僕は、今日も威厳が保てそうにない。
だってもう、涙が止まらないんだ。
これから娘を送り出す為に、腕を組んでバージンロードを歩かなくてはならないのに。
さっき見たウエディングドレスに身を包んでベールにうっすら顔を隠した娘は、君にそっくりだったんだ。
もう二度と会える事のないと思っていた君に、もう一度逢えた。
それだけで僕は涙が止まらないのに、娘はもう僕の元から旅立ってしまうんだ。
白いベールをなびかせて僕から旅立っていく娘の幸せを僕は心から願っている。
分かっているよ。
娘はきっと幸せになれる。
だけど、今日くらい泣いたって良いだろう?
情けないと苦笑いして、僕の涙を見逃してくれ。
泣かずに見送ることは、残念ながら出来そうにない。
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