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「お父さん、まだ泣いてるの?そろそろ泣き止んでね。お母さんも心配してるよ」
控室に顔を出した娘。
僕の隣にいる君の遺影に微笑んで「お母さん、行ってきます」とはにかんで笑う顔は、あの日の君と瓜二つ。
あの日急にこの世からいなくなってしまった君。
その面影を宿す娘と頑張ってきた今日まで。
ようやく、僕の仕事が成し遂げられる日が来たんだ。
きちんと見守っていてくれよ。
情けない父親でも、娘をきちんとエスコートしてくる。
僕しか出来ない一世一代の大仕事だ。
君と歩いたあの道を、娘にも歩んで欲しいんだ。
だから泣きながらでもなんでも、僕は言ってくる。
「幸せになってくれよ」と。
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