回想8年前…6日目・最後の夜で…

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脱がされた服を動けない私の代わりに 直してくれるけど…恥ずかしい。 「アイツらに…これ以上はされてはないよな…?」 とても厳しい顔してそう言って 肩を掴むけど…それがちょっと痛い。 「…うん」 そう言えば…ぐっと抱き締められて 「…よかった…」と…耳元で囁かれて 頬ずりされて…変な感じだった…。 なんだろう…いつものような… 乾の兄ちゃん…とは何か違う…。 「帰ろう…」 そう言われておんぶされた 腰が抜けていまだに立てない私には それはとても助かって その広い背中にしがみつく 普段からふわりと香る爽やかな香り それに…たぶん兄ちゃんの匂いが いい感じに混じりあってほっとして さっきまでの恐怖から解放されたの あらためて実感したら… たくさんの涙が頬を伝って兄ちゃんの その背中を濡らした。 「…もう大丈夫だから…泣くな」 足を止めて…ひょいと前に抱き直して ギューってしてくれて… しばしそのまままた私は泣いてしまった あんな恐怖はもうゴメンだ…! 再び…ゴール近くに戻る 「乾先輩ッ!響ッ!」 和田先輩達が声をかける 私がなかなかゴールしないので 騒ぎになろうとしていた…。 「どうやら道一つ間違えたようだ 真っ暗な所で泣いていた… 懐中電灯も無くしたらしいぞ 響一人で行くようにしたのは和田だな? それと金田、お前リーダーだろ? 肝試しは二人で一組ルール破らせんな! この施設は俺達だけじゃないし 暗闇を一人で……」 兄ちゃんの後輩達への説教 さっきの事…それは内緒のまま 兄ちゃんはレク係の後輩達を叱る。 「もし…なにか事件起きれば ずっと続くこの中3グループ達に 贈るレクレーション無しになるんだぞ!」 そんな言葉でしめていた。
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