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…間近で見た英雄…
清美さんにちょいと打ち負けた
彼女は高校生だし団体戦大将だし
当たり前なんだけど…すごく
すごーく…くやしくて
三分間弱の地稽古…さらに
気合いを入れ直す
「…ヒィっ!」
高2女子の辺りから
悲鳴がする
チラと見れば張り切っていた
中3の先輩…津田先輩が突きくらってる
「えぇっ!まだまだ突きは…」
私は次に稽古いただいてる
北島さんに顔を向ける
「…ふふ…だってここは高校だもん」
だって…あっ!そっか
と私は納得
そんじゃあ…まぁ…
私は見よう見まねで…
女子高校剣士達に食らいつく
「あぁっ!んもうっ!」
何年生なんだろう?
食らいつく私嫌がって
体当たりかましてくる
何度目かの太鼓が鳴って
何度目かの移動をして
時には道場の先輩や他の道場の先輩とも
稽古にあたって…
いくら空調効いていても
季節は夏…倒れる人達出てきている
そりゃそうだよね
男子の方で稽古している内藤先輩が
吹っ飛んで行った
壁にぶつかる前に稽古に並ぶ
男子高校剣士達の群れが受け止める
「ほらっ!ほらっ!
がんばれー!ガキっ!」
声かけしてもりたてる
なんとなく男子の方が迫力あるな
なんて見てて思ってしまう
「っしゃあっー!
お願いします!乾さんっ!」
って声
上手いこと女子高校剣士の
打ち込みさばきながら
そっちの方をチラ見
黒塗りの胴…丸に揚羽蝶…
ゼッケンには
「乾」
そう刺繍されていた
遠目にだけど…今までよりも
近くに見ることが出来た英雄の姿だった
鋭い咆哮が先輩の動きを止める
瞬間…容赦なく突き…片手突きが
いや…なんだ…面
でも勢いで先輩の体が沈んだ
「すっげー!」
思わず声が出た私
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