再び、回想8年前…合宿5日目

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お腹…空いたァ… 武道場の時計…チラリと面金の隙間から見る。 ……もうすぐ1時じゃん! 合同稽古10時半から11時半。 11時45分からすぐ試合… 審判は各校で交代制 女子は三人制で三分の試合時間 お昼引っかかるから、武道場の出た所にある ロビーにお茶とたくさんのおむすび 香物、串に刺さった唐揚げなどの 軽いお昼が用意されてる。 試合終わった順に軽く腹に入れろと 言われて女子部員や先輩達行っている あぁ羨ましい〜! なんて言いながら…私は速攻をする 相手はさすがに高校生!追撃してくる つばぜり合い… 「…お腹減ったよね?」 ウチのチームの相手。 M高Aチームの先鋒の人が聞いてくる ちょいとうなづく私 この人も…時々武道場の入口 見ているから腹減り? 面金越しのその顔は眉下がりの ちょっと情けない表情してる… ウンウン、お腹減ると悲しい… 「…私もなの♪」 なんて笑顔…だけどね… 小5ながらに色々考える 腹減り?は本当かも知れない だけどフェイクかも知れない ほら小学生なんてちょろいぞ! なんて観戦者から声あったし すこしだけ冷静に考える けど……お腹減った…。 「…だから…早く終わらそっ!ねっ♪」 つばぜり合い 面金越しに囁く人に 不意に押されて崩れる。 ヤベェ…! 左足の踵を床にぐいっ!とつけて 倒れぬ様にぐっと耐える 割られた正中線…その先に振り落とされる。 竹刀の所々藍に汚れた先革…が見える! 反射的に左足を斜め後ろに 大きく引いて右足引きつける 当然、体も左斜めに… 竹刀の先端は私の右肩にかかる 面布団に落とされる ビイィーン!とした痛み… 「あ…あぶね~ッ」 誰かの声とほっとしたような声 「惜しいッ!惜しいッ!」 M高陣の声とが混じる会場 それらを聞きながら さらに(たい )を左斜め前にさばき 中段の構えを取り直す 私から見て…ガラ空きになってる 相手先鋒の右側…。 あぁ…お腹空いた! そう思いながら… 急ぎ構えを取り直す先鋒(相手)の小手に はッと気がついて小手を隠そうと 上がる手元…ガラ空きの…黒塗りの胴… 私は手首を返してそのまんま抜いた 「胴ありッ!」 上がるのは赤の旗 「オシっ!」 どう考えても父さんの声 松本先生の声 それから…K高の誰かしらの声 「あ〜あ…」 がっかりした声 色んな声が混じる ピイィ…!! ホイッスル 「時間です!」時計係の声 危ない危ない… でもまずは中3Bチーム 先鋒戦一本!! でも…お腹空いた…
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