再び、回想8年前…合宿5日目

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男子個人戦… 私は乾の兄ちゃんの背に タスキをつけてあげた 今している試合の後に試合だ 乾の兄ちゃんの着装はやっぱり 完璧で一部のスキもない。 試合用の正装の生成り色の道着と袴 試合用の防具の藍染 黒塗りの胴 青を基調とした曙光… さらにすっと伸びた背筋 他のK高生よりも美しかった。 試合を観戦者として遠くから見るよりも すぐそばで見れる 私の最高の剣士…ヒーロー ほのかに香るのは何の香りか? (その頃ファブリーズなかったの) 柔らかな香りがした タスキを渡した時に私は乾の兄ちゃんに 自分のサポートに着くように言われた 「目の前で勉強させてやる」 …と、また柔らかな笑みを見せてくれた 当たり前だけど… 「乾先輩ィ~!響ちゃんばかりィ!」 なんてK高女子部員の一部と 中3の先輩達がブーたれるけど 「お前らの考え方改めろ…」 一言言い放って 私に竹刀の袋(玉竜旗参加した時の 記念で買ったらしい)持たして 会場へ向かった 白の旗が三本上がる 和田先輩が高1ながらに N高の二年に食らいついた 「いい面だ…」 乾の兄ちゃんは口元に笑みを浮かべ 穏やかに二本目をかけて戦う 和田先輩を見た 「はじめっ!」 主審のM高の監督の声聞きながら 面と小手を着けた 乾の兄ちゃんは、軽く体を解す。 絶品の突きと面…生み出す バランスよく鍛えられた 長い手足の肢体… 正直…羨ましい… 私が本当に男なら… ここまでになれるのかな? 180は余裕であるその長身 恵まれてる… 「響…さっきの試合で 突き…決め損なったな。 基本的な両手見せてやるから 目を離すな!」 一試合男子は五分 白い旗が上がる。 和田先輩がまた決めた それを背後に立つ 乾の兄ちゃんは凛々しかった
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