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いきなり動いた乾の兄ちゃん!
それに対して合わせるように
踏み込む山本さん…。
ッタァァーン!!
ッキィィーン!!
場内に響くのは面金に竹刀の当たる音。
面布団をたたく音…
乾の兄ちゃんの竹刀の先と…
山本さんの竹刀の先は
お互いに一本にならない面の位置。
そこから…始まる乾の兄ちゃんの猛攻!
「おぉーッ!!」
会場が湧き上がる!
乾の兄ちゃんと山本さん幼い頃から
ん…きっと私と西村みたいな関係?
技をお互いに磨き続けた山本さん
まるでじゃれつくように
楽しそうにも感じてしまう。
「あぁ…やっぱり俺はどっちもイヤだ…」
山川さんがまたぼやく
ドン!
互いに体当たり
山本さんが当たり負け
「待て!!」
審判の声
一時止まる時計
ふたりは開始線へ…
再び再開
本当に僅かに勝る乾の兄ちゃん
よく見れば竹刀の剣先一本分で
小学生の私から見たら
まさに…神っ!的な?
山本さんの攻めを流していく
すっと立ち止まって
またタイミングをずらして
山本さんがようやくつかみ始めた
兄ちゃんのリズムずらさせる
「チッ…本当にウマイや…」
「山川さん…自信なくさないでよ~
三年も一緒にいたんだから」
私は山川さんの袖掴んで言う
だっておもしろい試合見たいし
テンポずらす攻め方
山川さんと清美さんの共通
乾の兄ちゃんはそのずらし出来るし
その欠点知ってるが故に通じない
次は山川さん…ってわかってるから
きっと見せつけか?
色々考えてしまう。
それでも山本さんは
自分自身の間捉えて
豪快な面を放った…が…
「ツキィヤァァ!」
鋭い声と共に…長身の山本さんが揺らぐ。
そして尻もちをついた。
赤の旗文句ナシに三本
「突きありっ!」
主審の宣告
山本さんの面に対して
兄ちゃんが踏み込んだ瞬間
右手を外して左腕をぐっと伸ばした
山本さんの突き垂れに瞬時に
剣先が入ったのだ!
山本さんの竹刀はかわされて
空をきり兄ちゃんの右肩の面布団の上に
二本目の前にまた開始線
その時に兄ちゃんと目が合った
とても激しい試合してるとは
思えないほどの穏やかな表情だった
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