1座目 星座占いと告白

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「…普通は…自分の秘密を削ってまで他人の秘密を守ろうとはしないと思う。  正直何を考えているのかわからないよ。」 「……そう…だよね。」 そういってしばらくの沈黙。 彼女にとって、僕の秘密などどうでもいいことだ。 これを無理やり押し付けてるのだから 共犯関係を仕立て上げようとしているように見えるだろう。 罪に対する贖罪として秘密を押し付けて許せって言ってるのだ。 身勝手極まりない。 しかし、今月さんはノートを押し返すようなことはしてこない。 秘密に対する思いは自分もわかっている。 それが伝わればいい。そう思った。 「……知りたくもない秘密を押しつけられてるけど…でも…」 「……。」 「華落君がそこまで悲痛な顔をするってことは…  相当バレたくない秘密ってことだよね?」 「…うん。」 「…わかった。」 そういって今月さんは僕のノートを自分の鞄にしまった。 「私はこれを持っておくことにする。  でも信じたわけじゃないよ。様子見させてもらうだけ。」 「うん…誰にも言わない。約束する。」 「……華落君って変な人だね。  本当に私のこと誰かにしゃべったら…  その時はこれ、使わせてもらうから。」 秘密がバレてしまってから 今月さんの口調は少しきついものになっていたが… さっきと比べて彼女の口角がほんの少しだけ上がっているような気がした。 よかった…。 これで…今月さんは少しでも楽になってくれただろうか。 僕は今日、少しだけ憧れの人と秘密を共有する仲になった。
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