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登校後。
朝のホームルーム開始までユキと談笑する。
「今日、香織から部室掃除するって聞いたよ。」
「そうそう!だから今日は一緒に帰れない。ごめんな!」
「どうせ今日は図書委員の仕事もあったから別にいいよ。」
僕は本好きなのもあって図書委員に所属している。
昨年度から続けているので仕事に戸惑うということもない。
まぁ、貸し出しの受付をするくらいだし、
そもそも滅多に人なんて来ないけど。
今月さんも隣の席で友人のような存在と談笑していた。
「そっか!図書委員に『友達』とかいないのか?」
「いや…そういう『関係』の人はいないかな。」
ユキと話していると、たびたびチラッと隣から視線を感じる。
「なんだ『ぼっち』かよ。」
「…日ごとで担当分けされてるから基本『1人』だよ。」
「華落君!」
「うわっ、びっくりした!」
突然今月さんが微笑みながら声をかけてきた。
あまりにも突然だったのでさすがにびっくりした。
「今日も現代文あるでしょ?昨日教科書ありがとう。
持ち帰っちゃってたから返すね!」
「あ、うん…。…ありがとう。」
「いーえ、こちらこそっ!」
そういえば返してもらってなかったのか…。
そういって教科書を受け取ると
その教科書の下には僕の小説プロットのノートが…。
「…っ!!」
「あれ?今月さん、そのノートずいぶん使い込まれてるね。」
「…っ!?ユキ!」
「ん?」
ユキが反応するとは思わなかった…。思わず焦って声が出る。
「……ふふっ、これ?『大切なノート』なの。」
「……。」
「へぇー、それだけ大切に使われたらノートも幸せだろうね。
ところでアキ、さっき何か言いかけてなかった?」
「な、なんでもないよ…。」
そんな僕の様子を尻目に
微笑みを浮かべたまま自席に戻る今月さん。
だけどその微笑みは僕には挑戦的な表情に見えた。
ユキと話してただけなのに…。かなり用心深い…。
そして自分も同じ状況にあることを再認識させてくる。
「アキ、顔色悪くない?」
「…大丈夫。」
まるで背中にナイフを突きつけられてるみたいだ。
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