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……………
………
…
昼休み。
僕は2日連続で屋上で昼食をとっていた。
理由は…1人になりたかったからだ。
午前中はことあるごとに今月さんの視線を感じた。
たびたびノートをちらつかせてくるのが本当に心臓に悪い。
お昼ぐらいは視線から逃れたいと思って屋上に来たのだが…。
「……。」
「……。」
先客がいた。相手は今月さん。傍らには僕のノート。
入った瞬間、思わず出ていこうとしたらノートを使って制止された。
前に座れとノートで脅され、一緒に昼食をとるよう促された。
「……。」
モグモグと自分の弁当を消化している彼女だが、
まるで獲物を狙う動物のように視線だけは僕から離していなかった。
「あ、あの…。」
「……。」
「なんでそんなに僕のいる場所にいるの…?」
「屋上にはあなたから入ってきたでしょ。」
「う…。そんなに心配しなくても誰にも」
スッ…。
今月さんは傍らのノートを掲げて開こうとする。
「…ごめんなさい。」
「……。」
ノートを下ろす彼女。そのまま食事を再開する。
自分からやったことだが
彼女のあまりの用心深さにすっかり疲弊していた。
このままじゃ心労が絶えない。
だけど昨日は自分のせいで傷つけてしまったわけだし
今更返してとは言うつもりはない。
今月さんが満足いくまでこの状況に付き合うつもりだ。
しかし…
「…も、もうちょっと緩和できないかな?」
「……。」
スッ…
「…すみません。」
「わかればいい。」
今日の弁当はまるで味がしなかった。
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