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私には結婚式を前にどうしても言っておきたい事があった。
「智章さん、私…智章さんに言っておきたい事があります」
「えっこのタイミングで?何か聞くのが怖いんだけど」
「ふふ、大した事じゃありません。私、智章さんの事…好きです。ちゃんと言ってなかったなと思って」
今まで伝えてなかった私の気持ちを正直に伝えた。すると何だか智章さんがワタワタし始める。
「ちょっと待って。今そんな事言われたら嬉し過ぎて…俺泣きそう」
智章さんが急に私をふわっと抱きしめてきた。
「俺も恋ちゃん大好きだよ。もうヤバイじゃん。もう式が始まるのに思いっきりキスしたい」
「それはメイクが落ちるのでやめて下さい」
「恋ちゃん冷静過ぎ。じゃあ誓いのキスまで我慢する」
智章さんのおでこが私のおでこにコツンと当たる。そして二人でクスクスと笑い合った。
そして式本番…
「新婦、恋。あなたはここにいる相沢 智章を、病める時も健やかなる時も富める時も貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」
「はい、誓います」
私は力強く答える。式が始まるまでは緊張があったけど、式が始まると不思議と緊張はなくなっていた。
その後も順調に式は進み、最後の誓いのキスだ。
私達はお互い向き合い、智章さんは私に覆い被さっているベールを上にあげる。
そして真っ直ぐに見つめる智章さんの視線が近づき、私達の誓いのキスは終わった。
人前でキスなんて…と思っていたけど、今は恥ずかしさより嬉しさの方の気持ちが大きかった。
クライマックスはブーケトス…
本日快晴。絶好のブーケトス日和だ。
私と智章さんは外に出る。外に出るとウェディングベルが鳴り響いていた。私達が聞いたように、このウェディングベルの音を聞いてくれている人がいると嬉しいな。
階段の下には式に出席してくれた人達が並んでいて、祝福の言葉を投げてくれた。
私は何て幸せなんだろう。
智章さんと出会えて…
智章さんを好きになって…本当に良かった。
この幸せがずっとずっと続きますように…
私はそう願いを込めて、
ウェディングブーケを空高く放り投げた。
…END
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