ジャージャーのフォース

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「もしもし、ヨーダ?」 「なに、珍しい」  手にとって耳に当てるのもだるい。スピーカーに切り替えるとジャージャーのよく通る声が誰もいない事務所に響いた。 「仕事終わった?」  スクリーンの右下を見るとちょうど0:00を指していた。 「仕事なんてねえよ」  ある意味終わってはいる。 「じゃあちょうどいいね、今ヨーダの事務所の近くにいるんだけど、飲まない?」 「ハッ、こんな時間に金のない奴に電話してくんじゃねえよ」  そのうち食いっぱぐれる。雀の涙よりも粒高い俺の預貯金額は、いつでも一円単位まで暗唱が可能だ。 「いいよ、奢る奢る。どっかいいところ知らない?」  そう言われて思いつくのはバナムだった。ジャージャーに教えるのは癪な気もしたが、酒も安い、客も安い、どうせ空いてる。 「場所送る。もう事務所出るから、現地集合で」 「わかった。またあとで」  マップ情報を送ると、すぐに既読がつく。この辺りでは誰もがジャージャーみたいに素直そうな奴のことを軽薄呼ばわりして、用心深く、信用しない。旋風のように俺たちに近づいて、うわべを撫でたら颯爽と消えていくからだ。
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