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「まあ、あんたが幸せならいいんだけどね」  呆れたように、美代子は言った。 「簡単に乗り換えられた元カレ君には可哀想だけど」 「可哀想って、私達はちゃんとお互いの合意の上で別れたれたんだから」 「合意もなにも、彼女に別れようなんて言われたら、男の人は普通拒否する事なんてできないでしょ。それでも納得が出来ていないから半年も経っているのに連絡をしてくるんじゃない。あんたが嫌いになったわけではないけど、なんて面倒な振り方をするから」  彼からの電話は昨日の夜にもかかってきていた。自分が身勝手な事をしているというのは分かっているつもりだ。例えば「他に好きな人ができた」とか、そういうどうにも出来ない口実を用意した方が、彼も楽なのではと考えなかったわけでもない。それでも長年連れ添ってきた彼にだからこそ自分の気持ちを正直に打ち明けたかった。彼からの連絡を受けるわけにはいかない。早く私を忘れてもらうために。私が早く忘れるために。 「今からでも結婚したいって素直に言えば、それで済む話だと思うんだけどなぁ」 「別に結婚がしたかったわけじゃ」 「でも同棲にマンネリを感じるようになったから別れたんでしょ? 次のステップに進めば良かっただけなんじゃないの?」
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