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 マンネリ。あの不安を、その一言で済ませられてしまう事に抵抗を感じた。自分が何も変われない、何も残せないまま未来へ運ばれていってしまう不安。今も抱えているはずのその想いを、上手く言語化する事が出来ないせいで頷く事しかできない。きっと、彼を苦しめてしまっているのもそれが理由なのだろう。 「そもそも彼には結婚の意思はなかったもの。私が言えば、彼はそうする事を選んだだろうけど、結婚ってそんなふうに強要されるものではないじゃない」 「まあねぇ」  美代子は息を吐いてから「私はこれだという相手がいたら強要でも脅迫でもしてものにする所存だけど」と笑った。 「所存って」  つられて私も吹き出す。  昼休みが間も無く終わるという時間になって、美代子が今夜の飲み会について口にした。 「飲み会?」  首を傾げると「今週の頭に話したじゃない。また聞いてなかったんでしょ」と困った顔を向けられる。  最近こんな事がよくある。多分、心が離れている事があるせいだ。 「やめとく?」 「ううん。行く」  頭痛はあるし、仕事終わりの疲労を思えば到底そんな気にはなれなかったけど、前もって約束してあったようであるため断る事は出来ない。  一瞬シロの事が頭に過ったけど、いつもより少し帰りが遅くなる程度だろうし、お腹が空けば勝手に餌を食べてくれるかもしれないとも思った。
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