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「今日の収穫は三つ。まずは、上木のじいさんはやっぱり刀の持ち主と何かあった。次に、日記内の駅名が霧笠だと分かった。そして三つ目。女と出会えたことだ」
二人は裕昌の部屋で夕食を食べながら会議をしていた。ちなみに夕食はネギトロ丼だ。
「あの女性、地縛霊かなんか?」
「まあその方向であってるな。地縛されているかどうかはわからんが」
はむ、と散蓮華にマグロと白米を乗せ口に運ぶ。これはまた美味しそうに食べるものだと少しだけ微笑ましく思う裕昌。
「明日はあの女性に会いに行く方針でいいのか」
「間違いない」
黒音は最後の一口を放り込むと、ごちそうさまでした、と行儀よく手を合わせた。
「今日もしっかり寝ておけよ裕昌。刀のそばにも居たし、あの女の気にも少しは触れただろ」
「わかってるよ。休むことには遠慮しないから大丈夫」
「よし。それじゃああたしはもう寝る」
猫の姿に戻った黒音は猫用ベッドまでとことこと歩くと、すぐに丸くなった。裕昌は、残った食器を片付けるため、集めて下に持って降りようとした。
「黒音―?食べてすぐ寝ると牛になるぞー」
「あたしは猫だからだいじょーぶー」
なんていうやり取りをしつつ、夜は更けていくのだった。
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