食い男

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 むくんでいて、ニキビ顔で、一重で、たらこ唇で。ブスの要素を全部詰め込んだような顔はあいつのような完璧な顔になっていた。  つまり俺は、人を食うことでその人の能力を獲得することができるようになったと言うことだ。さらに、この能力は使用しない時に解除することができた。つまり、イケメン顔とブス顔を使い分けることができると言うことだ。学校ではブス顔にしておいて、外に出る時はイケメン顔にすると言った用途ができるわけである。  結局、俺は最強になったのだ。  それがわかった時の喜びと言ったら。と言うか、喜びを感じることができたのは初めてだったかもしれない。  俺は数十分ほど奇妙な高笑いをしていた。  次の日のターゲットは陸上部の部長とした。ルックスが整ったならば次は運動、と思ったわけである。そいつは性格が良くて、俺に対してもいつも対等に接してくれた。いじめもしなかった。けれど、救ってはくれなかった。こう言う奴ほど救ってくれるものだと勝手に思っていた。俺の態度こそ悪かったとも思う。弱い立場の性格にはなれなかったからだ。だとしても、憎かった。やり方がわかった俺はルーティーンのように、滑らかに食べた。  今回は味も匂いも何も感じなかった。少しは優しい人間だったからだろうか。  と言うことで、俺は人々をまとめれるリーダーとなれるような性格を得ることができた。  そしてこのことはすぐに世間に広まり、男子高校生連続誘拐事件としてニュースになるほどになった。  
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