食い男

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 俺はそこから、能力を得るためにとにかく人を食った。  学校にいるやつはもちろん、有名な映画監督や大物芸能人などにも手を出した。  自分が自分じゃなくなっていく感覚は少し寂しかったが、自分の能力が増えていくことはとても嬉しかった。    だいたいの能力を獲得しただろうと思ったころ、俺は戸籍を変え別の人間となった。氏名は前とは無関係なものにした。顔はもちろん変え、性格も変えた。(性格を変えるとは自分の性格を消したわけではなく、得た性格を表に表し、心の中に自分の性格を隠すと言うことである)  そして、転校生として俺のいた高校に入った。  そのころは誘拐事件で話題が持ちきりだったこともあり、予想よりはガヤガヤしなかった。それでも人間として接せられることが本当に嬉しかった。しかも、女子からも好意的な目線を向けられた。男子はすぐに「お前いいやつだな!」とか「おもしれーな!」とか言ってもらえた。とにかく初めて尽くしだった。人と同じ立場、いや俺の方が上の立場で会話ができるのも最高だった。  ああ、これが能力のある人間か。これが人生か。これからのことを考えると嬉しくて、傍観者だったこいつらと会話してる時に何故か変な笑いをしてしまった。  ここまでの間に俺は200人以上殺していた。
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