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「うわぁ~本物だ!」
僕を見つけるなり駆け寄ってきたのは、見知らぬ少女だった。
「やっぱり本物の方がかわいい、きれい!色白い……」
「あっ、あの……」
顔をぐっと近づけてまじまじと僕を観察する彼女の勢いに負けて、僕は徐々に後ずさっていく。
「細い、スタイルいい。それに思ったより身長あるんだね」
自分の背丈と比較するようにつま先立ちしながら手のひらを垂直に僕のおでこに当てる。彼女の指が僕の前髪をかすめて思わず心臓が跳ねた。
「髪の毛もさらさら。わたしのイメージ通り……いや、それ以上かも」
「あの……」
戸惑う僕なんてお構いなしに腕を組んで眉を寄せながらなにかを考えているみたいだ。
知り合いかな?クラスメートでもなさそうだけど……。
頭の中の記憶を引っ張りだしてぐるぐると考えてみてもやっぱり僕は彼女を知らない。だとしたら……今、僕の目の前にいる人は、誰なんだろう?
「あの……あなたは……」
「わかった!」
「僕の話を聞いてもらえますか?」
僕の言葉をさえぎるように彼女が興奮ぎみに言葉を続ける。
「やっぱりあなたは……天使?」
「……天使!?」
「だってきれいでかわいくて白いし。わたしのイメージ通りの天使」
きれいとかかわいいなんて僕がいちばん気にしていることをストレートに、しかもこの短時間の間に2回もいわれた。少しムッとしながら彼女に言葉を返す。
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