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なんだろう……全身がムズムズする。うれしい。僕も気づいていない僕を彼女が見つけてくれた気がしてうれしい。なのに恥ずかしい……思わず唇を強く引き結んだ。
「怒ってるの?」
否定の気持ちをこめて、大きく首を左右に振った。
「そっか……照れてるんだ」
「っ!?……そう……です」
じわじわと汗と一緒に恥ずかしさがこみあげてきて、手の甲で唇をおおうと、真っ直ぐな瞳で見つめてくる彼女の視線から逃げるように目を伏せて視線をはずした。
「わたしはね、ずっと太陽に恋してるんだ」
「えっ?」
まるで愛しいものを見つめるような目で太陽を仰ぐと、彼女が右手を大きくかざした。それは太陽を強く求めているように見えて、黒い感情がこみ上げてくる。
「だからね……キミの……」
「もしも……」
なんだろうこの感情は……みにくい感情が沸き上がってきて……自分を止められない。
「もしも……僕が……」
そうか……これは僕が望んでも手に入れることができないからって、そっとしまいこんだまま忘れていた感情。
「僕は空っぽだから……なにも持っていない人間だから……君が思ってくれるような……人間じゃない。だからもしも僕が、君を悲しませるくらいたくさんの雨を降らせたら……君はどうするの?」
僕にストレートに感情をぶつけてくれる彼女を独り占めしたい気持ち、独占欲だ。
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