~月曜日~

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

~月曜日~

 この人気のない、シャッターの下りた店だらけの暗い商店街もいい加減見飽きたものだ。昼はそれなりに賑わっているのだろうが、俺がここを通るのは朝と深夜だけ。いつものように月曜日からフルで深夜残業をこなして、疲れ切った身体を引きずるように俺は深夜の商店街を歩いている。  時刻は0時を回ろうとしているところ、この時間に開いている店は当然コンビニくらい。駅から商店街を通り、途中のコンビニで冷えた弁当を買うのが習慣となっていた。ほぼ毎日、深夜にやつれた顔で弁当と缶ビールを買う俺を、店員はさぞかしかわいそうな目で見ていることだろう。しかしそんなことを気にする余裕もなく、いつものように夜食セットを買うためコンビニに入ろうとする。と、 「っ…と、すみません」  自動ドアの手前で人とぶつかって、俺は反射的に謝っていた。全く視界に入っていなかったので驚いたが、自分の右肩あたりを見るとまだ中学生くらいに見える少女が立っている。  こんな時間に女の子が一人で…?と疲れた頭で認識すると同時に、少女は何故か俺の顔を見てにやりと笑って、歩き去って行った。 「なんだ…?」  薄明りに見えなくなる後ろ姿を見送りつつ呟いて、店に入る。  しかしいつもの弁当コーナーの前に立つ頃には、俺の思考は完全に空腹に押しつぶされてさっきのことは忘れていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!