最後の女

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最後の女

ハルは、出会った頃に、 「お前は、俺の最後の女だ」 って言ってた 私は、ハルは最後の男ではないが もしかしたら、ハルにとっては、 最後の女になるかもしれない ハルが、よく言っていた 私が、人に優しくすると 「情をかけては、ダメだ」 近所の人が、息子から生活費として 入れてくれたお金を、封筒ごと 落としてしまったから 私にお金を貸して欲しいと、言ってきた 私は彼女に、6万円貸した 困っている時は、お互い様と、思っていた 彼女は、月々1万円づつ返してくれた ハルが情をかけるなって言ったんだよ 私は、ここを追い出したら、行く所がない ハルを同情で別れないでいた 私は、ハルと一緒に住んでいた部屋とは別に 近所にワンルームを借りた 月々は34000円で、ペット可だった 建物は古いが、部屋はきれいに リフォームされていた 閑静な住宅街だったし、狭いので 犬達は、連れて行かなかった 両方とも、私の契約したアパートなので 昼間は、新しく借りたワンルームで過ごし 夜、彼が夜勤に行ってから、犬達のいる 部屋に帰った そして、夜勤明けのハルが、朝8時頃に 帰って来る前に、部屋を出た エイジとは、たまに会っていた 迎えに来るけど、家には、入らない ご飯を食べに行ったり、ホテルに行った エイジが言った 「みきが、犬の為に行ったり来たりするなら 逆になればいいじゃん」 その通りだった 私は、ハルの荷物をワンルームに運んだ 洋服と靴くらいしかない 冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電子レンジは リサイクルショップで買ってあった ベッドは、フリマアプリで安く譲ってもらい そのまま生活出来るようにはしていた テレビは、中古だが50インチで、 たったの25000円だった ワンルームには、大きすぎる でも、重くて運べそうにないので諦めた わが家のテレビは、20インチだった ハルに鍵を渡し、徒歩7分くらいの所にある ワンルームに連れて行った ハルには、毎月家賃を大屋さんに 直接振り込んでもらうようにした 初期費用や、家電、カーテンや布団等を 購入して、かかった費用として 30万円払って欲しいと言った ハルは、貯金があるのに 分割にして欲しいと言ってきた 理由を聞くと、 「自分でせっかく貯めたお金が 一度に減るのが嫌だから」 と言っていた 50過ぎの元社長さんの言うことか と思ったが、それでも 今まで8万円家に入れていたので 月々8万円づつ払ってくれた 私が集金に行った
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