メル友に救われる

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メル友に救われる

夫と娘から、離れて一人暮らしになった頃 ハルは仕事が忙しくて、淋しかった 初めての一人暮らし 私はチャットレディ募集の広告に目が止まる パソコンを使って男性と会話する そんな仕事だった 実際は違っていたけど そこで知り合ったのは 一つ年下のカズだった  関西弁で癒された 「あんまり無理すんなよ 適当に手を抜けやー」 その言葉に、涙が出た 関東の人は、頑張って とは言うが 適当に手を抜けや 何て言葉は言わない 朝まで電話で話したり メールしたりした カズもバツイチだった 会いたかった でも、遠かった そんな時に、ハルが家に転がり込んできた カズには、連絡しなくなった ハルが居候してから2年くらい経った頃 仕事帰り、電車でうたた寝していた時に、 自分が川を渡ろうとしている夢を見た 足を入れた瞬間に、冷たくて目が覚めた 死ぬ前に、会いたい人に会わなくては と思った カズに久しぶりにメールをする 和歌山に住んでいる人 大阪で会う約束をする 旅行会社に行ったら 新幹線で往復する ホテル付きのプラン 一人なのに5万円だった 新大阪駅で待ち合わせをした 初めて、カズに会った 「よう来たなー」 と、言って喜んでくれた 二人で、飲み歩いた 私が会いに来た事が本当に嬉しかったみたいだった 宿泊するホテルに行った ヒルトンホテルだった 夜景がきれいだった 次の日は、ユニバーサルに行った あっという間に、帰る時間が来る 新幹線に乗る時に 涙が止まらなかった 「遠くのなんとかより 近くのなんとか って言うからな」 カズは、こっち来いや とは、言わなかった 前に電話で話していた頃 「もし、俺と子供が溺れているとして 俺より子供の手を取る人がいい」 私が専業主婦になりたいって言ったら 「俺の専業主婦は、きっついで それでもよければ着いて来い」 と、言っていた 私も、まだ独身の娘が横浜にいる 仕事もある、犬もいる 簡単には引っ越せない その後、また2年くらい経った頃 カズが横浜に来た 休みが取れたからと言って3泊4日 で来てくれた 私はハルに、 「好きな人がいるから、出て行って欲しい」 と、言ったが ハルは、 「お金が貯まる迄、待って欲しい」 と、言った 私なら、他に好きな人がいる人とは 暮らせない やっぱり、行く所がないからいるだけで そこに、愛はなかった
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