若松Side

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若松Side

 俺は昔から、可愛いと言われて育ってきた 。俺が笑うとみんなが笑うし、俺が悲しむとみんなが悲しんだ。  小、中、男女共モテまくり、童貞はそうそうに失った。最初は嬉しかったが、だんだんモテすぎるのも億劫になってきて、俺は山奥の男子校に入学した。  平穏だったのは最初だけで、毎日毎日男にケツを狙われる日々。今ではもう、立派なクソビッチだ。  たくさんの男が俺を狙う中、同室者の末永だけは違った。  末永は、黒髪の硬派な印象の爽やかな美形で、俺と同じようなネコにモテていた。本人は気づいていないようだが、非公式の親衛隊もある。  末永は、見た目に反して料理が上手く、朝食を俺の分まで作っておいてくれた。  たまに向けられる、爽やかな笑み。俺はその笑顔に勘違いしてしまった。  実は彼は俺が好きで、でも大切だから手は出せないのではないかと。話によるところノンケのようだから、その戸惑いもあるだろう。  そう勘違いした。  だから、あんな阿呆な発言をしてしまった。  今冷静になってみると、自分を殴りつけたいが、先程まで俺自身、末永を好きだと気づいていなかったのだ。  末永は、ノンケではなかった。  ただ、ネコだと言っていた。  彼を好きになってしまった俺はどうすればいいのか。   俺は早速、『筋トレ 簡単』とスマホで検索した。  
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