埋め合わせ

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私が給湯室に移動するために席を立ち上がると、桃木さんは「あ!」と声をあげた。 「え、何ですか桃木さん」 「莉央さん、そんなネックレスつけてましたっけ?」 「……あ……これは、その……」 控えめにカーディガンの下に隠していたつもりだけど、本物のダイヤはやはり動くたびにキラキラと光る。 目敏い桃木さんに指摘され、私は慌てて首もとを手で覆った。 「似合ってるだろ?」 そう言ったのは都筑さんで、私は汗が吹き出した。 「……社長が贈ったんですか?」 当然、佐野さんたちがざわざわと騒ぎ出す。 ああもう、恥ずかしい! こんな顔じゃ仕事できないじゃない! 「お、お茶淹れてきます!」 駆け足で出ていくと、それはいつの間にかスキップに変わっていた。 相変わらずマイペースなうちの社長は、今日も秘書の私を振り回している。 私はこんな毎日に、ずっと恋している。 END
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