【書籍化】恋に気付いた俺様社長は溺愛体質に豹変する（旧題）

諦めた恋

「都筑さん。新店舗プロデュースの件、ロイヤルズホテルに見積り出しておきました。モイストアメニティには打ち合わせの時間調整を了承いただいて明日の十三時に訂正、あと月味フーズから新装パッケージのデザイン依頼が来ています」

今弄ってるＰＣにメモすればいいのに、都筑さんは木目のデスクに直接ボールペンで走り書きをし、「はいはい、わかった」と画面を見たまま頷いた。

その落書き、誰が消してると思ってるんだか。

この事務所には都筑さんの他に所属のデザイナーが四人いて、彼ら全員にそれぞれの連絡事項を伝えていくのが、私の毎朝のルーティンである。

ピンクの髪の佐野さん、指より長いイヤリングをぶら下げた堤さん、マッシュヘアの若林君、金沢さんはただのオジさん。

皆それぞれ得意分野が違っているけど、素晴らしいデザイナーさん達だ。

彼ら全員を秘書としてサポートするのが私の役目なわけだけど……正直、すごく大変だ。