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「別にいいですよぅ、私、諦めませんから。例え莉央さんと都筑さんが付き合ってても。すぐに奪っちゃいますから」
ん?
さすがに正気に戻り、彼女を見た。
また勝ち誇った顔をしている。
付き合っているのは正解だ。本当に勘が良くて怖い。
でも、もう私が恋人なのに。
桃木さんより私を優先してくれたし、彼女が都筑さんの特別なんじゃないかって予感は私の勘違いだったわけで。
あんなキス、誰にでもしているわけない。
桃木さんはどうしてこんなに自信満々でいられるんだろう。
なんだか怖い。
「……桃木さん、あまり話していると皆に聞こえますし、今は仕事に集中してくださいね。都筑さんのことが好きなのは分かりますが……」
「いえ、全然?」
え……?
思わず彼女の顔を見ると、長く反り返った睫毛をパチパチさせて笑っていた。
何なの……?
私をからかってる?
「ああダメだ、煮詰まった」
すると二メートル隣のデスクにいる都筑さんがタブレットのペンシルを放り、声を上げた。
前髪をかき上げ、不機嫌そうに目を細めている。
さっきまでキスをしていたとは思えない、仕事に戻れば相変わらずデザインの虫だ。
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