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9・久坂サイド
尾形を振りきって、自分の部屋に戻るとベッドに突っ伏した。大きく息を吐く。
ため息と一緒に、このもやもやチクチクムカムカな気分も出してしまいたい。
尾形……寂しそうな顔してたな。前、望さんが大型犬みたいって言ってたけど、ホント、飼い主において行かれた犬みたいな顔だった。
そう思うと、ちょっと笑ってしまう。
あの、杉下とかいうやつは、ちょっと見覚えがあるかなぐらいでよく覚えていなかった。でも尾形とは仲よさそうだった。俺は部活仲間とは……あんな風に話せる奴はいないかも。
ないものねだりして、ガキみたいに拗ねて、本当に自分が嫌になる。
井上……さんは、ホントに可愛かった。尾形と並んでも様になるというか……。
「はあ……」
明日休みでよかったな。こんなごちゃごちゃした気分で、尾形に会いたくない。
もうすぐ、好きな漫画の最新刊が出る。実写映画も来るし、明日はいちから読みふけよう……。そしたら、尾形のことなんか考えなくてすむし……。そのあとプラネタリウム行って……。
そんなことを考えながら、そのまま目を閉じてしまった。
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