1・久坂サイド

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1・久坂サイド

 小さい頃から、星空を見上げるのが好きだった。人見知りで、あんまり友達もいなくて、家の近所にあったプラネタリウムにばかり通っていた。幸い公共の施設で、子供の小遣いでも入れるような料金だった。  イヤなこと、ツラいことがあった日は必ずと言っていいほど星を見に行った。それは社会人になっても変わらずで、今住んでる街に決めたのも、プラネタリウムがあるのが決め手だった。  その夜、いつも以上に飲んだのも確かだし、あの人との別れが、余計に深酔いさせたのも事実だ。  だけどどうしてこうなった? 「久坂(くさか)先輩……」  見慣れた天井は確かに俺の部屋だ。だがそれを遮るように覆いかぶさっているのは――。 「尾形……?」  この春、我が営業二課に新任で入ってきた尾形恭平(おがたきょうへい)が、何故か俺の部屋で俺のベッドに俺を押し倒している。  何はともあれ、この状況は落ち着かないし、精神上よろしくない。 「……おいこら。何やってんだ」  本能的に怒りのオーラを感じとったのか、尾形は慌てて俺の両手首を握っていた手を離した。 「あっ、……すすすみません、つい」  つい、何だ。突っ込みたかったが、それよりも起き上がる方が先だ。 「……ってえ……」  体を動かした途端、後頭部に鈍い痛みが走る。頭を押さえて唸る俺に、これまた何故かベッドから遠く離れた壁際まで移動した尾形が正座したまま、
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