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決意は突然に
森田には現実の世界がわからない。森田は、二次元世界の住人である。ラノベを愛し、アニメのキャラクターと遊んで暮して来た。けれども自由に対しては、人一倍に敏感であった。きょうの午後、森田は男子トイレを出発し、女子を超えまた女子を超えて、教室のドアから3メートルもはなれたこの窓側の席までやって来た。
森田には顔の良さも、運動神経も無い。度胸も無い。十六の、内気な男の子だ。彼が通うアカネ学園高等学校は、二年生から理系と文系クラスにクラス分けが行われる。そして、今年の春から彼は文系クラスに所属し、近々、学園祭が催される時期なのである。
森田は、それゆえ、今日の午後から繰り広げられる女の仁義なき闘い(クラスの出し物決め)を鑑賞するために、はるばる学校にやって来たのだ。
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