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【いちごみるく】
ガタン
物が落ちた。
あ。
落ちたは禁句。
手を伸ばして、
小さなパックを取る。
渡すタイミングあるんかなー。
と、自問自答。
とりま、頭疲れたわ。
廊下の窓の外は
照りつける太陽の眩しい青。
ガンガン冷えたクーラーの
こことは、対称的。
塾バンザイ。
親感謝。
この時期はやっぱ、
室内に篭もりたいひきこもり派。
ま、
そうも言ってられないだけど
受験年だけど。
あー、
制服シャツを早く脱ぎたい。
蒸れる。
クビ開けても、あっちぃやんか。
いろいろ葛藤はあるけども、
それも、とりま、
置いといて。
いまの
オレの使命は、ただ、ひとつ。
いちごみるくを
渡せるか、
否か。
自問自答ループしながら、
クラスに戻ると、
塾担を待つ20名が、
一斉にオレへ視線を寄せた。
「うっわ、、わる、
まじ、ごめん、期待させた? 」
「ふくちゃん、やってくれた。」
「はよ、帰りたいのに、
まだなんかな?」
開いたドアの主が、
このクラスの担任でないことの
不満視線。
それをすり抜けて、
定位置席に座る。 ✤
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