お手をどうぞマドモアゼル

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君をパーティーに誘った理由? 異形のトカゲ紳士は首をかしげる。 私は人間で魔力がたいわけでも美しい人間でも教養があるわけでもない。 単なる小娘だ。 こんな上等なドレスを着て食べたことも無いご馳走を目の前にする事なんて。 夢にも思わなかった。 「それはね。君が普通の人間だからだよ。」 「・・・普通、ですか。」 理由を聞いてがっかりするとくすくすと笑うナメクジ婦人が這い寄ってきた。 「フフフ、トカゲさん。 意地悪しないで本当の事を言ったらどうなの?」 「やあ、ナメクジさん。 別に意地悪は言ってないよ。 普通ってとても良いことではないか。 私たちにはあり得て無いものなのだから。」 とトカゲ紳士はとても爽やかな笑顔で答えた。 ナメクジ婦人は私に耳を貸すように言うのでそっと彼女に近寄ると。 「あのね、素直じゃないからアタシが教えてあげるけど彼、貴方に惚れているのよ。」 その事実を知った瞬間、カッと顔が熱を持った。 どうやら、私も彼に気があるようで選ばれて良かったと胸の高鳴りを押さえることができそうにない。
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