第1章 当たり前の幸せ

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「はたらきたくなーい」  何処かのメタルバンドがそんなような曲を歌っていたのをネット動画で見たことがあったけど、今なら二つ返事で激しく同意。いや、でも…チラっと見上げると頭一つ分上にがいるわけで。    うわぁぁぁぁぁぁぁ、ヤベー!!オレ、こんなに幸せでいいのかな? 息をするのも苦しいくらい大好きな優が当たり前の距離にいて、オレのことを見てくれているなんて。  うわぁぁぁぁぁぁぁ、オレ、って朝からバカじゃん。こんなことでジタバタする暇があったら、さっさと朝飯食べて会社に行けって!!  オレは一人で何役もやりこなすかのように脳内の自分を一人一人宥め、ようやくYシャツを着て、優が持ってきてくれたカバンの中身を確かめる。 「忘れ物はないか、慎太郎?だいぶ時間が過ぎちゃったから、会社近くのカフェで朝メシ食べようよ?」 「うん…ごめん、優」 「大丈夫、怒ってないよ。それよりオレにキスしてくれる?」  優は少しだけ膝を折ってオレに届くように顔を近づけてくる。オレの身長に合わせるように屈んでくれたんだろうけど、そんなことしなくたって、オレは背伸びすればちゃんと届くよ?  朝からキスをする。まぁ、プライベートだからあまり詳しく言わないでおこうと思ったけれど、昨夜もちょっと優は激しかった……ゴホッゴホッ。
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