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「ねぇ、慎太郎?」
「何?」
「慎太郎、ミントタブを持ち歩いてるんだね?」
玄関のドアを閉めながら、優は何げなくオレに聞いた。
「なんで分かったの?」
「あ、いや、スーツ持ってくる時、ポケットから落としちゃって」
「ああ、ごめんごめん。入れっぱなしだったから。色々サンキュー」
小走りで二人で並んで走って駅に向かう。すると優の顔がなんとも言えない複雑な顔になっていた。オレのせいで遅刻しそうだから?
「あのさ、慎太郎」
「何?」
「なんで、ミントタブなんか持ってるの?」
訳を聞かれてオレは戸惑ってしまう。本当の理由は優に不意打ちでキスされても、変な匂いがしないように、と持ち歩いているわけで。
「いいじゃん、別に」
そっけなく返事をしてしまった。
「ふーん。慎太郎、息とか気にしたりするんだ?」
なんだかやけに今日の優は絡んでくるような気がした。
「……慎太郎、最近後輩たちからよく慕われるようになったよね」
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