3人が本棚に入れています
本棚に追加
その車の中には白い子も乗っていた。
車に乗ると、白い子犬と黒い子犬がじゃれあい始めた。
「お母さん、私は選びたくない。
選ぶ必要もない。だって飼う気が私にはないもん。」
母は、その答えは予想通りとでもいうように、平然と言った。
「じゃあジロはどうなるの。
あれはまぁ事故よ。あなたがジロを大切にしていたのも知ってる。だけど、いつまでもウジウジしてちゃ駄目でしょう。
ジロがあなたの悲しむ姿を見て、喜ぶと思う?
はぁ...ねぇ、あの子達の誕生日は4月30日ですって。」
「ジロの命日...」
「ジロがあなたに会いたくて、生まれ変わってきたとは思えない?
ジロを宿しているのはどっちなのか。
選べるのはジロを誰よりも愛していたあなただけよ。」
どちらかにジロを宿した子犬。
白い子か黒い子か。
─私が選ぶ...!
「この子を飼う...!」
最初のコメントを投稿しよう!