運命

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その車の中には白い子も乗っていた。 車に乗ると、白い子犬と黒い子犬がじゃれあい始めた。 「お母さん、私は選びたくない。 選ぶ必要もない。だって飼う気が私にはないもん。」 母は、その答えは予想通りとでもいうように、平然と言った。 「じゃあジロはどうなるの。 あれはまぁ事故よ。あなたがジロを大切にしていたのも知ってる。だけど、いつまでもウジウジしてちゃ駄目でしょう。 ジロがあなたの悲しむ姿を見て、喜ぶと思う? はぁ...ねぇ、あの子達の誕生日は4月30日ですって。」 「ジロの命日...」 「ジロがあなたに会いたくて、生まれ変わってきたとは思えない? ジロを宿しているのはどっちなのか。 選べるのはジロを誰よりも愛していたあなただけよ。」 どちらかにジロを宿した子犬。 白い子か黒い子か。 ─私が選ぶ...! 「この子を飼う...!」
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