6人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
another4 母親代わり
「え?母さん。子供になったの?」
と聞き返すマナ。
「………。」
ファイナルの隣、羅刹のひざの上に乗っている竜がマナを見る。
「じゃあ、私が母さんだね。」
と竜を抱き抱え、笑った。
「………うん。」
と竜は無表情だが珍しく同意した。
「………。」
そして竜はマナの服を握りしめていた。
竜の部屋。
マナは鼻歌まじりで昼食を作っている。
竜が人前に出られないのは、人を殺してしまう可能性がある。
周囲を敵だと思っているために襲ってしまうのだ。
それから3週間後。
今日は竜の御披露目会だ。
白いフリルの付いた服を着せて、マナと共に座らせた。
事前に告知しておいたので、客が倍以上来ていた。
うっかり近付き過ぎて、襲われそうになった部下たちもいたが、マナが捕まえてくれている。
竜は恥ずかしいのか、顔をうずめてマナに捕まっていた。
社員たちは遠くから見ているしかない。
それでも何か残しておきたいのだろう。
社員たちによる写真会が始まった。
竜も堪らず逃げ出そうとするが、逃げ出せなかったのは言うまでもない。
最初のコメントを投稿しよう!